梅は生のままでは食べられない!その理由は?

6月は梅の収穫の最盛期となります。和歌山県など梅の産地では、自然に落下する梅を保護するための収穫用のネットが敷かれます。木になっている梅を優しくもぎとっていきます。また、青く大きく育った梅や熟して黄色や赤色を帯びている梅、落下している梅など、6月にたくさんの梅を収穫し、梅干しや梅酒などに使われます。

収穫期の梅は、桃のようなさわやかな香りがして、その実はまさにフルーツのように感じられます。ただ、梅をそのまま生で丸かじりする機会はないですね。どうして梅は生で食べないのでしょうか。実は梅の実を生で食すことができないのには大きな理由があります。今回は梅が生で食べられない理由をまとめてみたいと思います。
 
梅の種や梅の果肉には、種を守るために青酸配糖体の一種であるアミグダリンという成分が含まれています。アミグダリンそのものには毒性はないものの、体の中にある酵素と反応してしまうと、シアンという物質に変化し、中毒症状を起こす原因となることがあります。
出てくる症状としては、めまい、嘔吐、頭痛、下痢などで、より強い症状となると、痙攣や呼吸困難に陥ることもあります。
実際には青梅の中に含まれる量はごくわずかで、一口かじるだけで症状が出ることはありません。成人であれば約300個、子どもでも100個くらい食べないと深刻な影響は出ないとされています。そのため、そこまで気にすることはないかと思われますが、ただ、幼い青梅には注意が必要です。幼い青梅は種を守るために、アミグダリンがよりたくさん含まれるからです。
また、青梅の実よりも危険なのが、種です。種にはアミグダリンが果肉より10~20倍含まれています。特に木になったばかりの青梅は要注意です。大人はもちろんですが、小さなお子様はより注意が必要なので、誤って食べてしまわないように気を付けましょう。

ただ、このアミグダリンは梅の実が大きくなるにつれて、種を守る必要がなくなるため、分解されていきます。なので、熟した梅に関してはそのまま食べても危険性は薄いです。
さらに漬けたり、干したりするとその過程でアミグダリンがもっと分解されていき、安心して食べられるようになります。
そのため、昔から梅は梅酒や梅干しなど、漬けたり干したりして食べられてきたのです。
ご自宅で梅酒作りなどをされる場合は、生の青梅を使うことがあります。その場合は危険性が高いので、直接食べることはやめましょう。特にお子様が食べないよう注意してください。
もちろん、梅酒や梅干しなどは安全で、健康にも良い食べ物です。これからも安心して食べていきましょう。