梅の漢字を用いる様々な言葉

春になり、暖かい日も増えてきました。春と言えば桜の季節ですが、日本では春の訪れを告げる花は梅の花でした。梅の花は古来より和歌の中で登場するなど、梅の花は生活に欠かせないものでした。
そのため、日本では梅に関する様々な言葉も残されています。今回は日本語に残っている梅という字が使われている言葉

についてまとめてみます。

・松竹梅(しょうちくばい)
まず紹介するのが「松竹梅」です。これは松・竹・梅という3つの植物をならべた言葉で、おめでたいものの象徴とされています。松は冬でも凛としてそびえたつ姿から長寿の象徴とされており、竹は成長が早く、折れにくい様から生命力の象徴とされていました。
梅については春に他の花よりも早く咲き誇るその美しさから気高さの象徴とみなされています。
松竹梅は上からランク付けされているイメージがあるかもしれないですが、本来は格付けされておらず、3つとも同じレベルのめでたさを示す言葉です。おめでたい席にはこの3つが欠かせないですね。

・塩梅(あんばい)
続いて、料理の味加減の具合が良い様を示すのが塩梅です。現代では酢と言えば醸造酢が一般的になりましたが、かつては塩と梅を用いた梅酢が使われていました。料理の味付けはこの梅酢と塩を用いてなされることが多く、塩と梅酢のバランスが良く、良い味付けになっている状況を指すのに「塩梅が良い」という言葉を使うようになりました。
今でも梅は大事な食材として重宝されていますが、昔は味付けの要にもなる重要な役割を担っていたことが伺えますね。

・梅雨(つゆ)
6月に入ると時期は雨が多くなり、梅雨の時期になります。梅雨は中国から伝わった言葉で、元々は「ばいう」と呼ばれていました。この時期は雨が多く、カビが生えやすいです。カビは漢字では「黴」と書くので、黴雨と書いて「ばいう」と呼ばれていました。
ただ黴という字は難読漢字でもあり、一般に使用するのは難しいこと、またジメジメしたカビを連想してしまうことから、別の字を使うようになりました。
そこで使用されたのが黴と同じく、「ばい」と呼ぶことができる「梅」の字でした。梅は「ばい」と読めるだけでなく、この時期に旬を迎え、実を実らせることからも時期を表す言葉として適切だったとされています。

現代にも多くの梅の言葉が残っているように、梅は日本を代表する美しい花、よく見かけるもの、美しいものとして古くから愛されていました。日常生活で使う言葉や季節を表す言葉など、梅の漢字を用いた言葉は数多く残っています。皆さんも梅という字を見かけたら、かつての日本の生活に思いを馳せてみるのも良いですね。